斯くも詮なき日常に

イギリスに移住した30歳男のブログ

真っ赤なお鼻のトナカイの名はルドルフ

町中のそこかしこから、クリスマスソングの聞こえる季節となった。

よく耳にする曲というのは、無意識のうちに口ずさんでしまうものだ。

先日「赤鼻のトナカイ」を日本語で歌っていると、Hollyに歌詞中の情報量が少なすぎる事を指摘された。

そこで今回、日本語歌詞と英語歌詞、英語歌詞翻訳を並べて比較してみたいと思う。

余談ではあるが、「トナカイ」とは元々アイヌ語である。

 

真っ赤なお鼻のトナカイさんは

いつもみんなの笑いもの

でもその年のクリスマスの日サンタのおじさんは言いました

Rudolph the red-nosed reindeer

Had a very shiny nose

And if you ever saw it

You would even say it glows

All of the other reindeer

Used to laugh and call him names

They never let poor Rudolph

Play in any reindeer games

赤い鼻のトナカイルドルフは激しく輝く鼻を持っていた

もしあなたがそれを見たら、思わず「光っている!」と言ってしまうだろう

他の仲間のトナカイ達はそれを笑い馬鹿にし

かわいそうなルドルフを仲間に入れて遊ぶ事はしなかった

 

暗い夜道はピカピカの

お前の鼻が役に立つのさ

Then one foggy Christmas Eve

Santa came to say

Rudolph with your nose so bright

Won't you guide my sleigh tonight?

その後、ある霧の深いクリスマスイブ

サンタがやって来てこう言った

「眩しい鼻を持つルドルフよ、

今夜私のソリを案内してくれないか?」

 

いつも泣いてたトナカイさんは

今宵こそはと喜びました

Then all the reindeer loved him

And they shouted out with glee

"Rudolph the red-nosed reindeer

You'll go down in history!

その後、すべてのトナカイは彼を愛し、

彼らは歓喜と共に叫んだ

「赤い鼻のトナカイルドルフ

あなたは歴史にも名を残すだろう!」

 

 

 

 

仲間のトナカイの掌返しがすごい!!

さておき、日本語版の情報量が少な過ぎると言うよりは、よくぞここまで情報を抽出できたものだと、感銘を受けた。細やかなディティールはないにしても、ストーリが成立している。

情報として失われている点を挙げると、

・トナカイの名前はルドルフ

・大勢いるトナカイの内の一匹

・ピカピカの鼻というか、鼻自体が赤く発光している

・その年のクリスマスの日は霧の深い日だった為、光源が必要だった

・仲間のトナカイがクズ

この辺りだろうか。

 

海外から輸入されて歌詞のある童謡はほとんど例外なくこの現象が発生してる。

 英語と日本語を比べると、スピーキングの面においては圧倒的に英語が有利だからだ。

時間あたりに伝えられる情報量を比較した場合、日本語は英語のおよそ70%の量しか伝えられない。

 言語の持つ音節の構造上仕方のない事ではあるが、日本人が英語を難しく感じる理由の一つが、そもそも会話のスピードが段違いである事が一因であると言う。

しかし、ライティングの比較で言えば、日本語は英語に対し圧倒的優位性を持っている。100文字あたりの情報量はおよそ2倍だ。

試しにAメロの英語歌詞の文字数と英語歌詞翻訳の文字数を数えて見たところ、英語歌詞174字に対し翻訳101字であった。

今回はかなり直訳気味に訳している為、情報量を損なわずにさらに圧縮する余地も十分にある事を考えると、妥当な数字だろう。

漢字のもたらす恩恵である。

そう考えると、中国語が攻守共に隙のない言語の気がするが、この検証はまた後日する事とする。