義母の散髪
先日、義母が散髪へ行った。
Hollyは、義母が帰ってきたら「It suits you」似合ってますよと言うように私に釘を刺し、私は念仏のように「It suits you...It suits you...」と繰り返した。
1時間ほどして義母が帰宅し、挨拶とともに「It suits...」と言いかけて止めた。
髪型が変わっていないように見えたのだ。
実際には変わっているのかもしれないが、髪の長さや色などに劇的な変化は見られない。
もし髪型が変わっていないのにも関わらず、「It suits you!」などと言おうものなら自らの目を節穴であると証明することになるし、ただのおべっか使いになってしまう。
しかし些細な変化であれ、それを見逃し気の利いた一言も言えないようでは失礼なやつだと思われるかもしれない。
よくよく見てみると髪の毛の色が少しだけ明るくなったようにも見える。
言うか言わざるかを決めかね、蛇に睨まれた蛙の如くぷるぷると震えていると、キッチンからHollyが顔を出し
「あれ、髪の毛切らなかったの?」
と言った。
デウス・エクス・マキナの登場である。
どうやら義母がヘアサロンに行ったところ、今日はもう水がないから散髪はできないと言われ、仕方がないからついでにスーパーで買い物を済ませてきたそうだ。
予約をして行ったにも関わらず、店に行って門前払いとは日本であればクレームものだろうが、当の義母はどこ吹く風だ。
これくらいは日常茶飯事らしい。
良い事なのか悪い事なのかわからないが、郷に入れば郷に従うのみである。