斯くも詮なき日常に

イギリスに移住した30歳男のブログ

ブラックフェイス問題を受けて、イギリス人が日本で感じた差別

前回記事

pekepon.hatenablog.com

 

 

前回の記事の続きを書こうとしたが、ここ最近のネット界隈の動きを見る限り、想像以上に根深い問題の様に思えてきた。

グローバル化の進む昨今、一個人にすぎない私がここで善悪の判断を問うたところでクソの役にも立たない不毛な記事になる事は火を見るよりも明らかである。

それでは逆に、一個人である私がHollyの視点を借りて、現代日本に存在する差別に関して記していこうと思う。

能書きだけ垂れて、面倒臭くなった訳ではない。

そんな事は、絶対にない。

 

これは彼女と私の主観が入り混じっており、どっちに転んでも一方的な書き方になるのは構造上仕方がない。悪しからず。

 

アパートを借りられない

外国人であるという理由だけで賃貸契約を断る大家が大多数を占めている。

ALTを辞めて一般の幼稚園へ職場を移した際、引越しの必要に迫られたのだが、結局レオパレス21でしか部屋を借りられなかった。

賃貸不動産屋に行った時点で、担当者から外国人であるために選択肢が少ない事を言われた。

大家達の言い分としては、外国人はよく近所トラブルを起こす、パーティを開いては深夜まで騒がしくする、部屋を綺麗に使わないetc...

外国人であると言う理由で部屋が借りられないのは差別ではないかと、担当者に聞いてみたところ、外国人は悪さするから仕方なくない...?との態度だったと言う。

 

日本語の発音を真似される

ALTとして小学校や中学校を回っていた時、生徒からよく日本語の発音をからかわれたという。

分別の付かぬ年頃を相手にしている事を考えれば致し方の事かもしれないが、同時に良い教育の機会でもある。

しかし担当の英語教師は特段注意する事もなく、黙って見ているだけだったそうだ。

正確な英語の発音を試みるつもりもない奴らに限ってこういった真似をする。

まぁ子供のする事であるからに大目に見てやって欲しいところではあるが、中学生にもなってその程度のモラルしか持てない事こそ問題だという。

 

発音といえば余談ではあるが、私がまだHollyと付き合って日の浅い頃、性行為の最中に「私の顔の上に座ってください」と英語で言おうとした。

しかし「S」と「Sh」の発音の区別が付かなかった私は

"Sit on my face."「私の顔の上に座ってください」

と言うつもりで

"Shit on my face."「私の顔の上にウンコをしてください」

と言ってしまった。

それを聞いた彼女は、果たしてこの特殊な性癖に対してどこまで応えるべきが真剣に悩んだと言う。

「しかし、このレベルの性的リクエストをするのであれば事前の相談があって然るべき、なおかつここは彼の部屋で布団にはウンコをブチまけられる様な準備は何もしていない。」

「つまり何か別のことを頼もうとして、間違えた英語を喋ってしまったに違いない。」

「日本人がよく間違える発音の一つに「S」と「Sh」がある。」

「つまり彼のリクエストは『私の顔の上に座ってください』だ!」

この時ほど、彼女の理性と推理力に感謝した事はない。

他にも間違えやすい単語として"election"と"erection"がある。

「選挙」の話をしている最中、「勃起」についての発言してしまわぬ様に。

  

同性愛に関する理解の遅さ

これもALTとしての仕事の際に起きた出来事である。

彼女の妹は同性愛者であり同性の恋人いる。その事を授業で話した際に一人の女子生徒が「キモっ」っと発したそうな。

分別の付かぬ年頃を相手にしている事を考えれば致し方の事かもしれないが、同時に良い教育の機会でもある。

怒った彼女は、目の前で人の身内を馬鹿にするとは何事か、とその女子生徒に迫った後、日本にも同性愛の人間はいるが、あなたの様な物の言い方をする人が多いから、なかなか名乗り出ることが出来ずに生きにくさを感じているのだよ、と優しく諭したそうだ。

 

余談ではあるが、私は銭湯で変なおじさんに絡まれた事がある。

ある日銭湯の湯船に浸かり日頃の疲れを癒していると、私の目線の先にぱっかり開いた股を見せつけ、ニタニタ笑うおじさんが現れた。

気味の悪さを感じ別の湯船へ移動するも 、すぐさまそのおじさんが私の後を付け、同じ様にして目線の先でぱっかり股を開くのだった。

その様な攻防を二、三度繰り返し(私の防戦一方であるが)、ついにおじさんが股間に手をやり自慰を始めた辺りで耐えられなくなった。

プルプルと震えながら精一杯の虚勢を張り、勢いよく湯船から立ち上がるや早足に出口を目指し、おじさんとすれ違う瞬間横目にギリリと睨め付け、舌打ちを一つ鳴らしてやった。

なんとも情けない撤退である。

この様な話をすると、同性愛者に対する差別を助長している様にも取られかねないが、この話の問題は、おじさんが「同性愛者」である事ではなく、「変質者」である事だ。

道端で淑女に股間を見せつけ悦びを感じる「変質者」と同質であり、向けられるべき嫌悪の種類にも変わりはない。

さらに余談ではあるが、後日私の友人も同じ銭湯にて見知らぬおじさんに足を撫でられたという。

そんな珍しいことが二度も三度もあってたまるかと、インターネットにてその銭湯を検索してみたところ、そこは地元で有名なハッテン場であった。

その事を勘定に入れると、私も少しは、本当に少しは悪かったのかもしれない。

 

日本語がうまくないだけで子供扱いされる、お世辞文化

高齢者の方に多いのだが、日本語がうまくないだけで、メンタリティも子供であるかの様な扱いをされる事に、腹が立って仕方がなかったそうだ。 

 大学を卒業して単身異国に赴く行動力を持つ人間の頭が悪いわけがないだろうが、とは彼女の言葉だ。

よく言われる「日本語お上手ですね」対しても、自分の日本語が上手くないのはわかっているし、そのセリフは嫌という程聞き飽きているから、もう言わないで欲しいと多くの在日外国人が願っている。私も彼女と初めて会った時は言ってしまったのだが。

接客の際のリップサービスも過剰で、あからさまなお世辞を受けて気を良くする人間が実在するのか?と彼女は疑問を呈する。

 

ハーフが普通の日本人として扱われない

教室にハーフの子供がいると、ハーフだからこの外国人の先生と話してみて、等と言われるそうだ。

日本で生まれて日本で育ち、日本語しか喋れないにも関わらず、見た目だけでその様な冗談を言う事が差別的であると言う。

正直、些細な事ではとも思ったが、ハーフの人間からすれば生まれてから死ぬまでずっと付いて回る事である。

中身も考えも私たちと何も変わらない一般的な日本人であるにも関わらずだ。

 

お祭り等で勝手に写真を撮られる

他の外国人の友達と連れ立って地元のお祭りに参加すると、よく一緒に写真を撮っても良いかと聞かれ、悪い時は断りもなくシャッターを切られる事が多いのだと言う。

主におじさんに多い。

外国人は動物園のパンダでもなければ夢の国の黒鼠でもない。

外国人もこのお祭りを楽しんでます的な絵が欲しいのだろうが、外国人だろうが日本人だろうが関係ないだろ、との事。

日本人にやっておかしい事は、外国人にやってもおかしい事だ。

余談ではあるが、イギリスで購入したiphoneはカメラのシャッター音を完全に消す事ができる。

日本であれば消音カメラなどのアプリが必要だが、こちらではデフォルトのカメラでそれが可能だ。

Hollyに言うと、日本みたいな変態盗撮文化はここにはないからと、なんとも差別的な言葉をいただいた。

 

中国、韓国、東南アジアの人間を基本的に見下している

これについては私自身思い当たる節もあり、少々耳の痛い話だ。

学生時代は今でいうネトウヨと呼ばれる様な人間であった自覚もある。

しかし今では中国人の友達もいる。

Hollyの友人達との飲み会で言葉の通じぬ中、一人寂しく酒を飲んでいた私に声をかけてくれた彼は韓国人だった。

中国にも韓国にもいい奴もいるし悪いやつもいる。

日本にもいい奴もいるし悪いやつもいる。

今はそれくらいの考え方に留めている。

近隣の国と仲良くするのは難しいのは世界中どこでも言えることだ。

イギリスもフランスとは仲が良くない。特に離脱宣言以降。

慰安婦問題については2015年に日韓合意が結ばれている以上、何度も蒸し返されるのはどうかと思うが。

Hollyの友人に東南アジアからの外国人実習生として造船所で働いていた人たちがいたが、彼らは恐ろしく低い賃金と過酷な労働時間、その上2、3年したら母国に返され日本に住む事も許されないという最悪の条件で働かされていた。

保育士や介護士の人手不足について、海外からの労働者を受け入れてはどうかと話してみても、家族を外国人に任せるのは少し怖いとの事だった。

果たして、超少子高齢社会を目前に控えた日本が外国人労働者の助力なしに社会を継続させることが出来るのだろうか。

このままでは頼んでも、誰も日本へ働きに来てはくれなくなるだろう。

一抜けした私が言うのもなんだがな!

 

終わりに

誤解なき様に一応言っておくが、私もHollyも日本が好きだ。

今後日本の人権意識が他の先進国と足並みを合わせるか、日本独自の路線を貫くかはわからない。

今回のブラックフェイスに関しての賛否は半々といったところだ。

いずれにせよ、少しずつでも日本が世界に誇れる良い国になっていく事を願うばかりだ。