斯くも詮なき日常に

イギリスに移住した30歳男のブログ

小銭について

英国人はあまり現金を持ち歩かないという。

基本的には何でもカード決済だ。

しかし私は未だ無職の身であり、住所の根拠も定まっていない為、カードの審査に合格出来ない。

故に当然買い物も現金で行なっているのだが、一つ問題がある。

頻繁に小銭を使えないのだ。

日本にいた頃は財布に小銭が溜まるのを嫌い、できる限り最小お釣り枚数を目指して会計をお願いして来た。

例えば、1622円に2122円を出し、500円玉一枚のお釣りを貰う、と言った具合だ。

仮に22円が無かったとしたら、2200円を出して578円を貰う。100円玉を500円玉にまとめたいのだ。

しかしながら、私がその様なお金の出し方をする度、Hollyは怪訝な目線をくれながら、「イギリスに行ったら、その変なお金の出し方はやめてね」と口を酸っぱくして言うのだった。その様な硬貨の渡し方をしても、十中八九店員に理解されないだろうとの事だった。

そしてイギリスへやって来た。郷に入れば郷に従え、である。

渋々最小お釣り枚数を諦め、紙幣一枚を店員に渡し、その度に膨らみ続ける小銭入れを寂しく懐にしまうのだった。

また買い物自体の回数が少ない為、必然的に一度に買い込む量も多くなり、小銭だけで済ませられる会計が少ない。

さらにイギリスの硬貨は日本のソレに比べて大きく、そして厚い。

硬貨がかさばるにも関わらず、手持ちの硬貨を減らすシステムが存在しないのだ。

Hollyにこの英国経済の不備を伝えたところ、英国民は現金を使わないからその様な問題は存在しないと一蹴された。

そうして今日も、はちきれそうな小銭入れを眺めながら、その使い道に思案を巡らせるのである。