斯くも詮なき日常に

イギリスに移住した30歳男のブログ

移住前夜、飛行機にて、本とか漫画とか

現在ロンドン行きの飛行機の中である。退屈が限界に達したと見えるHollyにKindleを明け渡し(元より彼女からのプレゼントではあるのだが)、手持ち無沙汰となった。折角なのでこの時間を利用し、ここに近況を記す事とする。

話しは前々日から始めよう。11月19日の朝、この日は午前中の内にアパートを引き払う予定だったが、手配していた廃品回収の業者が指定の時間に到着せず、ルームチェックの時間を遅らせた。電話にて問い合わせた所、今すぐ向かわせますとの答えであった。業者が到着次第、顔にパンチをお見舞いする旨の宣言をしたHollyを宥めてすかし、待つこと40分でようやく軽トラックが到着した。回収のおじさんは廃品の量を見るなり顔をしかめ、およそ一万七千円程度の料金になるだろうと査定を出した。少し高いのでは無いかと異議を唱えようとした矢先、但し安くする方法があると付け加えられた。件のアパートは5階建ての5階、残念ながらエレベーターもついていない。つまり搬出を手伝って欲しいとの事であった。廃品回収の相場が明らかで無い為、うまく丸め込まれた感がないわけでも無いが、支払う金額が減り時間も短縮出来るのなら一石二鳥の万々歳。不機嫌だったHollyも態度を軟化させ、搬出を手伝ってくれた。

回収が終わり、遅らせていたルームチェックの担当者に連絡を入れた。そうして、およそ四年程度住んでいた家賃と住民の民度が低いボロアパートを無事に引き払う事が出来た。畳部屋だった為、退出に際しに結構な金額を請求されそうだったが、入居時にそれを見越して本来は必要のない敷金を多めに渡していた為、今回の支払いはそう多くはないだろう。一人暮らしの畳部屋はほとんどメリットがない為、出来れば避けるべし。

晴れて住所不定無職となった後、重量超過気味のスーツケースと手荷物数点を引き摺り広島駅へ移動、新幹線に乗り込み新大阪へ到着、さらに電車を乗り継ぎ関西国際空港手前りんくうタウンにあるスターゲイトホテルへチェックインした。部屋は44階。景色は最高だった。しばしの休憩を挟み、最寄りのソフトバンクショップを訪ねて携帯端末の契約を解除した。先進国日本において、インターネットへの常時接続を断たれるというのは何とも不安で、権利を剥奪された無力感、社会から隔離されたような疎外感をひしひしと感じる。りんくうタウンへ戻った後、温泉施設を発見し入場。これにはHollyも大満足。同施設内のショッピングモールにて予備のメガネの購入を検討し、オシャレな丸眼鏡をチョイスするも、マットサイエンティストみたいと評され断念。食事を済ませ、ホテルへ戻り就寝。

11月20日。起床し準備もそこそこにホテルを出発。電車で一時間ほどかけてUSJへ行った。最初にジュラシックパークのなんか乗るやつに乗り、水浸しになる。その後ハリーポッターゾーンへ移動。ピポグリフのジェットコースターに乗る為、雨の降る中で90分ほど並ぶ。決して弱く無い雨は確実に体力を奪い、寒さに手足の感覚を忘れ始めた頃、ようやく我々の順番が来た。30秒程のささやかや絶叫を楽しんだ後、遊園地とは何かを考え始める。この様に並んでいては埒があかぬと、エクスプレスパスの購入を決定。早速権利を使いハリーポッターのなんか乗るやつに優先的に搭乗させてもらう。が、この時すでに体力の限界が近く、 更に偏頭痛の兆候がビンビンにあった。体を縦横無尽に揺さぶられ、3D眼鏡の向こうでは強烈な光が明滅。アトラクションの後半はほとんど記憶になく、ただ嘔吐を堪えるのみであった。クィディッチどころでは無い。恐らく朝からまともな食事を取っていないせいもあるだろうと、三本の箒にてやや無理をしつつも昼食を取る。Hollyから英語のラベルが貼ってある変な頭痛薬を2錠貰い、しばらく休憩を取る。一時間ほどすると薬の効果が現れ、楽に歩けるまでに回復した。その後様子を見つついくつかのアトラクションを楽しんだ。スパイダーマンが一番面白かったんじゃないかな。りんくうタウンへ戻り再び温泉へ入る。この風呂文化ともしばしの別れと思うと、少し寂しくもある。

そして本日、11月21日。スターゲイトホテルからシャトルバスにて関西国際空港へ移動。諸々の手続きを済ませ、出国。さらば日本。達者で暮らせよ。大阪から仁川、仁川か
らロンドン。長旅に備えて前日の晩にKindleの内容を充実させておいた。友人各位から頂戴したアマゾンカードを使わせて頂いた。リストは以下の通り。
中間管録トネガワ新刊
3月のライオン新刊
転生したらヤムチャだった件
君たちはどう生きるか
金田一少年の事件簿外伝犯人たちの事件簿
カメントツの漫画ならず道
ジェームズPホーガン「造物主の掟」
太宰治「晩年」
大樹連ニ「GODZILLA怪獣黙示録」
ばくおん!!1〜10

「スピンオフ漫画に面白いものは無い」という常識を覆した「中間管理録トネガワ」。福本漫画の若い読者層の笑いのツボをピンポイントに抑えたこの作品はまさにマーケティングの勝利に他ならないだろう。福本漫画の一歩間違えればギャグへと転じかねないシリアスシーン(特にアカギの鷲巣麻雀後半に多く見られた)に対する無意識化のフラストレーションをよく理解した上で、作風はそのままにナンセンスを前面に押し出し、高度なギャグへと昇華させている。設定やキャラクターだけに頼らず、純粋にユーモアのセンスが高いのも好評を博したまま6巻まで続いている要因の一つだろう。かくして、「原作のタッチを維持したままのスピンオフ漫画大航海時代」が幕を開けた。金田一少年のスピンオフは一話目はすこし笑ったが、二話目三話目とほとんど同じ展開が続くので、アフィリエイト広告頼った一発屋で終わるだろう。読者への理解が半歩足らず、取り敢えずやっとけ感があった。ヤムチャの漫画はギャグ漫画ではなかったし、普通のジャンプの漫画だった。
ばくおん!!は以前から気になっていた漫画の一つだったが、Kindleの導入に伴い購入。テコンダー朴と同じ系統の読みたいけど本棚に入れたくない漫画だと思われる。そしてその例に漏れずナンセンス、皮肉、メタ視点、風刺を備えた実に良いギャグ漫画だった。